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話題の会社・現場を知る

週刊タイヤ新報
令和3年7月19日

 

<テキスト>
話題の会社・現場を知る
廃タイヤの処分と収集運搬
NKリサイクル株式会社
東京の西部、西多摩郡瑞穂町にある「NKリサイクル」は、都内で唯一の廃タイヤ回収・処分・リサイクルを行う企業だ。燃料用タイヤチップの製造を主とし、現在は首都圏を中心に事業範囲は日本海側の新潟県など計11の都県に及ぶ。廃タイヤ回収現場で感じることや廃タイヤ事業の将来を小橋克史代表取締役社長、処分製造部・佐野隆係長、収集運搬営業部・久保田哲朗主任に伺った。

―佐野係長、久保田主任はそれぞれ現在どのような業務を担当しているんですか?
久保田『メインは廃タイヤの回収です。それに加えて、営業部ということで新規のお客様のところに行ったり、業務内容の説明に行ったりもします』
佐野『回収されたタイヤや持ち込まれたタイヤの処分を担当しています。PC用タイヤとTB用など大型のタイヤで処理方法は違っていて、それぞれ処理をして製品化まで行っています』
―現在、廃タイヤ回収はどのような状況でしょうか?
小橋『回収量でいいますと毎月1000トンで、600トンが回収、400トンが持ち込みという状況です。現在回収しているタイヤは、9割がPC用で、残りの1割がTB用です。拐取先はタイヤショップや整備工場などですが、収集運搬会社経由のお取引が同業他社に比べてかなり多いのがNKリサイクルの特徴でもあります』
―収集先として増やしていきたいところはありますか?
久保田『カーディーラーさんからの回収をもっと増やしていきたいです。ディーラーから回収するタイヤは状態がいいものも多く、中古タイヤにまわせる率も高い』
佐野『処分をする際にも状態の良いタイヤの方が、機械への負担が少ないというメリットがあります』
―主に製造されているタイヤチップの供給先はどのようなところがありますか?
佐野『発電用ボイラーを利用している製紙会社と化学メーカーになります』
小橋『供給体制では、得意先配車の100トンを除き、毎月700トンを主要株主である直江津海陸運送さんが、200トンをNKリサイクルが庸車して上越まで運びます。その後、直江津港から海上輸送によって日本海側の得意先にタイヤチップを安定的に供給できる体制になっています』
―廃タイヤ処分を取り巻く現状についてどう感じていますか?
小橋『法律がだんだん厳しくなってきていますね。廃タイヤの置き方はかなり整然とされるようになってきました。雨ざらしというのは減ってきていますし、タイヤの状態もありますから、回収も早めに来てほしいというのがあったり、これは悩みどころではあるんですが(苦笑)』
―昨今はペーパーレス化が進み、主な供給先である製紙業の将来を懸念する声もありますが、
小橋『確かに、現在製品の供給先として製紙会社は多いですが、自家発電という文化が長くあった製紙業界だから発電所を持ち、運用できるスタッフがいたということです。ですから、我々は製紙会社というよりも発電所を見据えるという意識でいるべきだと思います。製紙業に限らず、最終的には各商社が自身で発電能力をもつ環境が理想ではないでしょうか。発電事業の一端を担っているという考えが我々には大切です。一方で、製紙業以外に目を向けると、最近ではタイヤチップの輸出に協力してほしいという話もあります』
―今後の目標をお願いいます
久保田『部署としては増車・増員です。破砕機も導入して通年で作業ができるという計画でありますので、これと合わせて部署を拡大していきたいです。私個人としては、チームの管理をよりきちんとしていきたいです』
佐野『工場には新たな破砕機を導入する計画ですから、1人1人の負担が減らせていけるようにしていきたいです』
小橋『2年後には、廃タイヤの受け入れ量を平均1500トン体制にしていきたい。そのための土地や、さらなる破砕ラインの導入も検討中です。また、回収ではTB用タイヤの回収率を上げていくことが今後の課題でもあり、新品TB用タイヤ販売という構想もあります。ゆくゆくはPC、TBの回収割合を半々にできたらと思っています。NKリサイクルは組合には加入していませんが、だからこそできることがある。単独では難しくても、働きかけていくことはできます。「タイヤチップの安定供給」とその体制づくり、廃タイヤから価値のあるモノをつくり出していくということをこれからもやっていきたいです』

【工場見学】
インタビュー終了後、佐野係長案内の下、実際にNKリサイクルの工場を見学させてもらった。工場は、PC用タイヤ処理工場とTB用タイヤ処理工場の2ヵ所に分かれており、PC用は破砕、TB用は切断という工程から処理が始まっていく。取材日にはどちらの工場にも、回収されたかなりの量のタイヤがあった。TB用工場の一部には、回収されたタイヤの状態を選別するスペースも。
整理整頓も心がけているという佐野係長は『機器の摩耗・損耗の状態は常にチェックしています。交換するパーツのストックも切らさないようにしている。ラインを止めるわけにはいかないですから』と日頃から意識している点を語ってくれた。

RK通信社
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令和3年7月19日・28日合併号